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生活習慣病(糖尿病・脂質異常症・高血圧症)

通常の診療前に、待ち時間を利用して管理栄養士(日本糖尿病療養指導士認定機構 糖尿病療養指導士)による栄養指導や、看護師による生活指導が受けられます。診療後はトレーナー、健康運動指導士等による運動指導を受けることができます。
また、患者さんに向けた勉強会 、歩く会、親睦会などを定期的に実施しています。

※当院作成の資料です。

糖尿病

当院の糖尿病治療に対する考え方~健康な人と変わらない日常生活を維持するために~

〇当院の治療方針
糖尿病・内分泌内科の主な疾患の診断・治療方針には、学会ガイドラインが作られています。当院では、基本的にガイドラインに沿った、新しく、かつ標準的な治療を行っています。
血糖値、HbA1c、内科一般の採血結果のほかに、必要に応じてインスリン分泌能(Cペプチドインデックス)を調べ、治療方針を決め、生活改善指導を行います。また、「2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム」に則り、個人毎の糖尿病の病態に応じて治療薬を選択していきます。

〇糖尿病の治療目標(日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド」より)
糖尿病の治療目標は、「健康な人と変わらない人生を送ること」です。
合併症や動脈硬化の発症や進行を防ぐことに加え、高齢化で増加する併存疾患や認知症・虚弱・うつ病・がん等を予防・管理することが、元気に長生きするために重要となります。

〇糖尿病と合併症
2型糖尿病は、遺伝因子〈ご家族に糖尿病の方がいるかどうか〉、環境因子〈食べ過ぎ・飲みすぎ・運動不足など〉が大きく関わっており、糖尿病患者の動脈硬化性疾患(脳梗塞)は、糖尿病でない人の2~4倍多い※といわれています。
1型糖尿病も2型糖尿病も、最小血管合併症〈網膜症・神経障害・腎症〉と、大血管合併症〈心筋梗塞・狭心症・脳梗塞など〉の阻止が大切な課題となります。そのために、血糖・血圧・脂質・体重のコントロール、禁煙も含めた、体全体の総合的な管理が必要です。
※日本糖尿病学会編・著 糖尿病治療ガイド2022-2023「7.糖尿病合併症とその対策」より

〇2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム
2022年、日本糖尿病学会は、国内初の「2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム」を発表しました。日本人の糖尿病の病態に応じて治療薬を選択することを最重要視し、エビデンス(根拠)と日本での処方実態を勘案しています。
具体的には、「Step1」として病態(非肥満と肥満)に応じた薬剤選択、「Step2」として安全性への配慮(特に禁忌)、「Step3」としてAdditional benefitsを考慮すべき患者背景(服薬継続率、コスト)をあげて、薬剤を選択するアルゴリズムになっています。
作成の背景は3つあり、1つ目は欧米人と日本人の糖尿病の病態の違い、2つ目は欧米と日本の2型糖尿病の治療戦略の違い、3つ目は新しい解析により日本の2型糖尿病の初回処方の実態が実際に欧米とは大きく異なる事が明らかになったこと、があげられます。
これまで、欧米の糖尿病学会が2型糖尿病の薬物療法アルゴリズムに関するコンセンサスステートメント(公式の声明)を発表していました。今回、日本でもアルゴリズムを示したことはとても重要な意義があり、日本での糖尿病診療の向上に貢献・より良い診療に繋げていけるものと期待されます。

詳細参照 日本糖尿病学会  2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム」を発表しました|一般社団法人日本糖尿病学会 (jds.or.jp)

〇年齢別に異なる治療方針
壮年期~中年期には、エネルギー(カロリー)やコレステロールを控えて太りすぎを防止する、いわゆる「メタボ対策」に高い関心が集まります。しかし、高齢期、特に75歳以上からは「サルコペニア・フレイル対策」を意識した生活習慣へ切り替える必要があります。
高齢者糖尿病では、疾患と老年症候群の両方に焦点を当てます。歳を重ねると、筋力や活動が低下してきて、認知機能障害・転倒・低栄養・虚弱・うつ病・がんなど介護を要する様々な症状が出てきます。高齢期は合併症の進展防止だけでなく、低血糖の予防を含めた血糖コントロール・体重減少の防止・筋力の維持、そしてサルコペニア・フレイルを防ぐことが大切です。

〇糖尿病とサルコペニア・フレイル
サルコペニアとは、加齢とともに生じる骨格筋の質や量の低下のことです。フレイルとは、筋力や活動が低下してきている状態のことです。サルコペニア・フレイルが進行すると要介護につながる危険性が高くなります。これらは近年注目が集まっており、2019年にサルコペニアの診断基準が改定されました。
当院では、握力測定や5回椅子立ち上がりテスト、簡易フレイルインデックスを用いて、サルコペニア・フレイルの早期発見・早期対応に努めています。

〇糖尿病と虚血性心疾患
糖尿病の方は、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患になるリスクが高いことがわかっています。高血糖が続くと血管が傷つきやすくなり、動脈硬化が促進されます。糖尿病予備軍の時期から発症し進行している可能性もあり、本人が気が付かぬうちに心筋梗塞を起こしてしまうこともあります。当院では、患者さん自身が自覚症状をチェックできるよう資料を作成し、早期発見へつなげています。

〇糖尿病とがん
国内外で発表された研究によると、糖尿病(主に2型糖尿病)がある方は、がんリスクが20%ほど高いことが報告されています。2型糖尿病もがんも、生活習慣も関係している病気です。食事療法・運動療法・禁煙・禁酒は、血糖コントロールの改善だけでなく、がんの予防につながる可能性があります。がんの予防・早期発見・早期治療に向けて、生活習慣の改善指導や自覚症状の聴取、定期的な採血(PSA含む)、採尿、便検査、慈恵第三病院と連携した検査(CT、エコー、胃・大腸カメラ等)を実施しています。

このように、新しい知識を取り入れながら、若者からお年寄りまで一人ひとりにあった治療方針・生活指導を行うことで、皆さまの日常生活をサポートしてまいります。

○国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター
一般の方へ(項目目次) | 糖尿病情報センター (ncgm.go.jp)

○日本糖尿病学会
HOME|一般社団法人日本糖尿病学会 (jds.or.jp)

○日本老年医学会
高齢者糖尿病の血糖コントロール目標 2016 | 高齢者診療におけるお役立ちツール | 一般社団法人 日本老年医学会 (jpn-geriat-soc.or.jp)


動脈硬化疾患(狭心症、心筋梗塞、脳卒中)

まずは管理栄養士や看護師による、食事、運動を含む生活習慣の改善に向けた具体的支援 を行い、必要に応じて薬物療法を行います。
動脈硬化性疾患に対しては、早期診断、早期治療を目指し、慈恵第三病院、榊原記念病院等と連携しています。

骨粗鬆症

骨粗鬆症の診断、治療にも取り組んでおり、早期発見・早期治療を目指しています。
骨粗鬆症は、加齢に伴って骨がもろくなり、骨折・寝たきりのリスクが高くなる状態です。
高齢者や閉経後の女性、糖尿病、甲状腺機能亢進症の患者さんは、骨粗鬆症になりやすくなります。

当院では、骨密度測定や骨吸収マーカー、ビタミンD濃度の測定等により評価し、患者さん一人一人に合った治療方針を決定していきます。また、寝たきりにならないように転倒予防にも重点を置いて、生活指導をしてまいります。

甲状腺疾患(バセドウ病、橋本病)

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、甲状腺機能低下症(橋本病)の患者さんに対して、血液検査、触診で診断・治療します。

サルコペニア(加齢に伴う筋力、筋肉量の減少)、フレイル(虚弱)、認知症の予防

トレーナーや健康運動指導士による運動指導を行っています。診察の待ち時間を利用し、管理栄養士による栄養指導や看護師による生活指導も受けられます。
サルコペニアに対し、体組成計や握力計等を用いた診断と評価を行います。また、骨密度測定を行い、『骨折による寝たきり』のリスクとなる骨粗鬆症の早期発見・早期治療を行います。
認知機能の低下が心配な患者さんには、認知症テスト(MMSE)を行い、必要に応じて他医療機関をご紹介します。
当院では、運動や患者会などの活動や社会参加を通して、フレイル、サルコペニアに伴う筋力低下や認知症の予防を目指しています。